インタビュー

「ちょっとほっとできる」に関わりたい。出会いを楽しみながら、自分に合うかたちを探して。

保育士の仕事を一時離れ、5歳と1歳、いま2人のお子さんを育てているりえさん。これまで “出会い” に身を任せて、認可保育園、そして認可外のプリスクールで働いてきました。自分が選んだ保育士という道を振りかえりながら、親になって感じたことや、これからどう働きたいと思っているか、お聞きしました。

(りえさん・潜在保育士)

  1. 忘れていた卒園文集
  2. 出会いに身を任せて、プリスクールへ
  3. 「ふつうと違う」保育士
  4. 子育てとのバランスが良くて、復帰できた
  5. 「ちょっとほっとできる」にかかわりたい

1. 忘れていた卒園文集

3人姉妹の長女として、小さいころを名古屋で過ごしました。滋賀に来たのは小学校5年生のとき。それからずっと、こっちで暮らしています。

わたし、姉なんですけど「お姉ちゃん」と呼ばれるのがすっごい嫌で(笑)。妹たちにも「お姉ちゃんって呼ばんといて!」って言って、ずっと名前で呼んでもらってました。

でもイトコとか、近所の子とか、小さい子どもと遊ぶのは好きだったので。人の上に立ったりするのが、昔から苦手やったのかなぁって思います。

保育士になるつもりも、全くなかったんです

中学生くらいのときは看護師さんとか、人を癒せるような仕事にすごく興味があって。「手に職をつけたい」とは思ってましたけど。でもオーストラリアに住んでいたイトコの影響で英語にも興味があって、大学は英文科に進みました。

保育士を目指したのは、大学3回生のあと1年休学していたときですね。学童保育のバイトに行って、肢体不自由の男の子の介助の仕事をしたんです。で、夏だけの予定が気づいたらずっと続けてて。

いよいよ就職活動をするときに「こういう仕事がいいなぁ…」と思い直して、そこから保育士の資格を目指しました。

でもね、何かのときに幼稚園の卒園文集を振り返るときがあって。それ見たら「幼稚園の先生になりたい」って書いてあったんですよ。「そのときから思ってたんや!」って(笑)。すっかり忘れてたけど、やっぱり潜在的にあったのかもしれないですね。

4回生の間に資格を取ることはできなくて、「つぎ頑張って資格取ります!」って就職活動して、まずは保育補助として認可保育園で働くことになりました。

2. まさかの出会いで、プリスクールへ

1つ目の園では、4年近く働きました。何とか資格は1年目で取りましたけど、実習の経験もなかったですし、ぜんぶが初めてで。保育園ってこんな感じなのかなぁと思いながら、流れていくものを日々追いかけるだけで精一杯。

保育の現場って、日々いろんなことが起こるじゃないですか。次々行事があって、でも子どもも毎日違うし、予定通りにいかないし。それが面白かったけど、でも今思えばほんとに必死って感じでした。私としては、目一杯駆け抜けましたね。

4年目のときにいろいろ重なって、体調を崩してしまいました。一度は復帰できたんですけど、「一旦区切りをつけよう」と思って。保育士って仕事を続けるかも決めないまま、園を退職しました。

辞めたあとは、職業訓練を受けたりしながら、英会話スクールに通い始めました。そこで「保育園を辞めて、英語を習いに来てる」って話したら、「今ちょうどプリスクールを立ち上げたばかりで、保育士探してるんやけど」って持ちかけられたんです。

「ええ!まさかここで!」って感じでしたけど、英語はしゃべりたいなと思ってたし、それと保育なら「めっちゃ好きなこと両方やん」って(笑)。そのときも出会いに身を任せて、働いてみることにしました。

そこは12人の認可外の園で、時間は朝の10時から昼の2時まで。園にいる間は英語だけでの会話を目指していて、保育園というよりは習い事に近いですね。英会話のレッスンだけじゃなく、外遊びをしたり、製作活動もしたり。

わたしは週のうち3〜4日を園の保育士として働いて、その他の日は事務やアフタースクールの方の手伝いもしていました。

3.「ふつうと違う」保育士

プリスクールは小さいところで、保育士も私1人の期間が結構ありました。いろいろ大変なことはありつつ、立ち上がったばかりで作っていく楽しさはありましたね。何だかんだで、7年くらい働きました。

ただ保育園とやっぱり全然違うから、「保育士って名乗っていいのかな…」って思いはありました。保育士って保育園で働いてるイメージが、自分もあるから。保育士として雇われてはいながら、「保育士なんやけど、ちょっと違うねん」みたいなのは感じてました。

「いま何してるの?」とか訊かれたときに、「ふつうの保育園の保育士じゃないんよね」っていうのをいつも自分で言ってて。認可外だからって、ふつうの保育園じゃない訳でもないんですけど…。今だったら「ふつうって何?」とも思いますし。

でも保育士が何人もいる保育園だったら、保育士同士の横の繋がりがあって、保育を話し合う機会もいろいろありますよね。そこを自分1人で判断しないといけないから、たとえば「こういう時はこの子に対してどういう関わりがいいのかなぁ」とか、そういう相談がなかなか出来なくて。

もちろん他の英会話担当の先生やスタッフさんとも相談するんですけど、やっぱり英語に重点を置くことが多かったので。自分はもっと保育も深めたいなぁって気持ちはありました。

ただ少人数の異年齢だから、保育園より一人ひとりと関われて、それはすごい良かったって思います。日々じっくり関わりながら、深まっていくものもあったなぁと思いますし。

4. 子育てとのバランスが良くて、復帰できた

結婚していろいろあって、子どもも欲しかったので一度は退職したんですが、下の子が生まれるまでの2年間くらい、また同じプリスクールで働きました。上の子が2歳のときですね。「お仕事どう?」って声かけてもらって。

次の子を考えてたんですけど、「子どもができるまででいいよ」と言ってもらったので、週2日ほど。自分も一時保育を利用したりして働きました。

当時は子どもと育児サークルに行ったりとか、何だかんだ楽しく過ごしていました。ただ「いずれ仕事はしたいな」ともずっと思ってて。でも復帰してまたすぐ出産ってなると、職場的にも自分の気持ち的にも微妙だから、なかなか積極的に動けずにいたんです。

思ったよりも早い時期に仕事に戻れたのは、結果的に良かったなって思います。子どもと2人っきり、一対一じゃない世界ができましたし。それまでももちろん子育てはしてるんですけど、仕事をして収入もあることで、自分にも少し余裕が生まれて。

私はたまたま、自分の子育てがそこまで苦しくなかったんですけど、でも自分の子どもと触れ合う時間も持てつつ、ちょっと離れる時間もできるっていうバランスは良かったです。

保育士なのでよく「自分の子どもあずけて、他の子をも見るんもねえ…?」って言われるんですけど、わたし自身は、自分が子どもをあずけて他の子どもをみるのは、ぜんぜんありだと思ってます。

子どもみることには変わりないんですけど、またちょっと自分の心持ちも違いますし。そもそも保育士としてかかわるのと親として自分の子をみることは、意味が別だなって思いますから。

5.「ちょっとほっとできる」にかかわりたい

プリスクールは下の子が生まれる直前まで働いて、退職しました。これからどうするかは、まだ決めてないんです。

個人的にはわたしも、自分の子どもとは長めに関わっていたいから、がっつり働くのは今はちょっと…って考えてます。もちろん認可園もありですけど、自分に合うペースで働けるところが見つかれば、って感じで。ベビーマッサージとか、やってみたいこともありますし。

でも自分も親になってみてあらためて、子どもがいるお母さんが、 “ちょっとほっとできること” に関わりたいなって思います。

プリスクールは保育園と違って、働いていないお母さんがお子さんを連れて来ることが多かったんですけど。初めてあずけるお母さんも結構いて、「ほんまにありがとう~!」って言ってもらえるんですよ。あずかってくれてありがとう、って。

そのときは「そんなそんな」って思ってたけど、お母さんからしたらそれだけの時間離れて面倒みてもらうって、すごいありがたいことやったんや…っていうのを、親になって感じました。「あ、こういう気持ちであずけてくれはったんやな」って。

なのでこれからも、そういうことに関わっていきたいなとは思います。場所は保育園かもしれないし、そうじゃないかもしれないし。こうやって振り返ったりしながら、そこは流れに身を任せようかなと(笑)。

次のタイミングでまた、これまでみたいな出会いがあればいいなぁと思ってます。

 

(インタビュー・文/佐々木将史)